【税理士試験合格の秘訣】事業税攻略のためにすべきこと

科目別勉強方法の仕方シリーズ!今回は事業税です。
事業税は税理士試験のミニ税法科目です。
令和3年度の税理士試験の試験結果を見てみると、受験者数302人、合格者数38人の非常にマイナーな科目であることが伺えます。
税理士試験の事業税を最短突破するために何が必要なのか…。
事業税を攻略するために必要なことを教えていただきます。

この記事を書いた人

監修:吉岡のん

  • 税理士試験に3年半で官報合格。
  • 税理士受験生の応援団長として、実践しやすい勉強法を発信している。
  • Youtubeチャンネル「のんびり税務」 (2018年〜2021)
  • 著書「税理士試験 この勉強法がすごい」 (2020年 中央経済社)

実際に私自身も税理士試験5科目に合格していますが、事業税は情報が少なかったり、教材も十分になかったりと、不自由しました。

事業税は学習ボリュームの少なさから選択する方が多いと思います。しかし、学習範囲が狭いがゆえ、多くの受験生が理論計算ともに精度高く押さえてきます。
そんな中、頭一つ抜け「合格」の二文字を勝ち取るには、理論のアウトプットの工夫が肝になってきます。
今回は私の経験も踏まえながら税理士試験事業税に合格するためのコツについてお話しします。

目次

事業税の試験歴

受験1年目:合格

事業税は法人税の合格確定後、新たに学習をスタートした科目です。
1月速習コースに通学し7ヶ月で合格することができました

事業税は令和3年度の受験者数が、302人、合格者数が38人の超マイナー科目です。
マイナー科目ゆえ、事業税に関する情報は少ないかと思います。
少しでも多くの情報を集めたいと思い、当時は教室通学にプラスしてWEB通信の授業も受け、2人の事業税の先生の授業をW受講していました。

ちなみに、この年に同時受験した消費税は不合格でした…。2年目で合格できた消費税の勉強法は下記の記事をご覧ください。

私自身、税法3科目を勉強してきた中で事業税の勉強が1番面白く出来ました
事業税は魅力ある本当に面白い科目です!!すべての税理士受験生にお勧めしたい程、オススメの科目です。ですが、試験の合格を考えると難しい点もあります。
ここでは私が考える事業税の魅力と難しさについてお話しします。

事業税の魅力

①勉強時間目安が少ない
事業税はミニ税法科目の1つです。
大手予備校のTACが提唱する標準学習時間は200時間とされています。(私もちょうど200時間くらいでした。)
ただし、一発合格できない場合、200時間以上の勉強時間を費やすこともあり、参考程度の数字です。
ただ、1点客観的な事実として言えるのは、200時間は税理士試験の各科目の中で、学習時間が少ない科目だということです。
私も法人税法、消費税法を学習しましたが、他の2科目と比べても非常に学習量は少なかったです。
正直、他の税法科目だと最初と最後の授業で教室の生徒の数が全然違う…
つまり、仕事が忙しい社会人の方など授業についていけず、挫折してしまうという人も見てきました。
事業税は少ない学習時間で勉強できるため、時間が確保しにくい社会人の方でも最後まで勉強しやすい科目です。

②所得税や法人税について知れる
事業税は、法人事業税と個人事業税ついて学習します。
法人事業税を勉強するにあっては 法人税の基本的な知識が必要ですし、個人事業税は所得税の一部の基本的な知識が必要でした。
そのため、私の場合だと今まで勉強してない所得税を少しでも勉強できたのが面白かったです。ミニ税法1科目にも関わらず、大きな税法科目である法人税、消費税の2科目の知識に触れられる点は魅力でした。

③ある程度の規模で働く場合、実務で使う
そうは言っても、事業税は実務で使わないのでは?と思う方もいるでしょう。
確かに個人事務所などではあまり目にしない税目かもしれません。
ただし、ある程度の規模のクライアントを持つ場合、実務でも使用します。
実際、私がBIG4系の税理士法人に勤務していた際、事業税は法人税や消費税と並び、頻出の税目でした。そして、合格者が100人以下のマイナー税目にも関わらず事業税ホルダーに出会うことも多かったです。私が勤務していた事務所は会計士出身者が多かったこともあり、事業税ホルダーであることで、事業税や地方税の知識が非常に重宝された経験がありました。
ご自身の税理士としてのキャリアを考え、ある程度の規模のクライアントを担当したいと考える場合、実務面においてもオススメできる科目です。


私自身は事業税を選択して良かったと心から思っています。
ただし、事業税を勉強するにおいては試験上の難しさもあります。

事業税の難しさ

①受験者数が少ない
事業税の受験者数は令和3年度で302人と非常に受験者数が少ないです。
マイナー科目は市販の参考書が充実していない、予備校の講座が少ないなど受験生活を送る上で不自由さはあります。
そもそも事業税は出題範囲が少ないため、自前の参考書(通っている学校の教材)はやり切ったという受験生も出てきます。
その場合、他の予備校の教材に手を広げるわけですが、市販の教材も少ないです。
また、事業税を開講している学校も少ないです。最近では完全オンラインのスタディングが忙しい社会人の方に人気ですが、スタディングでは事業税の講座はありません。
ただし事業税は授業数が少ないこともあり、TACや大原などの大手予備校でも1月開講クラスの資料通信講座で66,000円〜、教室通学でも10万円〜15万円程度と他科目に比べると授業料が安い傾向にあります。(→TAC事業税

②母数のレベルが高い
私自身が事業税を勉強した経験からも、受験生全体のレベルは比較的高いと思います。
事業税は法人税の知識があると有利なため、法人税保有者や同時学習者など試験慣れしている受験生の方が多いためです。
学習ボリュームが少ないのは確かに事実です。しかし、それは受かりやすさとは関係ありません。
例えば、80点が合格点だとします。そうすると、殆どの受験生は70点以上に密集しているイメージです。
ある程度までは行けますが、そこから合格を勝ち取るためには、解答の仕方を工夫したり、計算の精度を高めたりと頭一つ抜ける工夫をする必要があります。

②計算でのミスは命取り
実際にトレーニング問題や過去問を解いた方なら分かると思いますが、事業税の計算は易しい問題が多いです。
「十分に時間をかけれたら」という本試験ではあり得ない状況ですが、その状況であれば受験生の多くが満点を取れるレベルの年もあるほどです。
ただし、本試験の時間は有限、しかも極度の緊張状態で問題を解くことになります。
そんな中で、ミスを起こさないよう、問題を解く必要があります。
他の科目だと2、3個のケアレスミスが許される科目もありますよね。
特に私は自称ケアレスの女王でしたので、ミスが許されないというのはなかなかのプレッシャーでした。。

ここまで読んで、それでも事業税を勉強する!と覚悟を決めたなら、最短合格を目指し勉強していきましょう!

事業税の計算のコツ

事業税の計算については、勉強を進める中で「難しすぎて分からない」「理解が追いつかない」ということは正直ないかと思います。ですので、計算のコツとしては事業税の計算にどう向き合うのかがポイントです。

事業税の計算は、やはり他の税目と比べるとボリュームが少ないという点と基本的な問題が多い点から、かなり高い精度で解答する必要があります。
事業税のトレーニング問題集は他の税法科目と比べると、目で見て分かる程、薄いです。(通学の時、軽くて楽だった記憶があります笑)ですので、掲載されている全問題を完璧に仕上げてください。

ちなみに私は、他の税法科目は自分が通っている予備校で貰った教材だけを何度も何度もやり込みました。他の学校に浮気をしたり、市販の教材を買ったことはありません。(全国模試は除く)
しかし、事業税だけは唯一、他の学校の市販の問題集まで手を広げました。

事業税は、世の中に出回っている問題集が非常に少ないです。ですので、自分の手元にある参考書が完璧な状態までいったら、他社の問題集まで手を広げるのもおすすめです。

また、これは他科目でも言えることですが、出来る限りケアレスミスはしたくないです。
ケアレスミスを無くす方法は「自分のケアレスミスの傾向を知り→対策する」に尽きます。
自分がミスをする毎に何でミスをしたのか考えることで、ケアレスミスの傾向が浮き彫りになってきます。

事業税の理論のコツ

理論について、勉強の前提と勝つ為の工夫の2点があります。
まず勉強の前提として、やはり母数が試験慣れている人が多いのと理論ボリュームの少なさから、出来るだけ高い精度で暗記することは必要だと考えます。
せっかく覚えるなら丸暗記は勿体無いので、計算の知識とクロスしながら覚えてください。
私自身も事業税受験生の時は、空き時間を使いながら小まめに理論暗記を進めていました。
私が受験した法人税、消費税と比較しても、最も高い制度で暗記した科目だと思います。
(※法人税の学習経験がある方にとっては、馴染みのある条文が多かった印象です。)

ただし、ここだけやっても合格を勝ち取ることは難しいでしょう。
合格を勝ち取るためには、「理論のアウトプットの工夫」が必要です。
事業税の理論の特徴として、解答量が非常に多いことが挙げられます。「速記大会」と言われるくらいです。
模範解答通りの解答をすると3時間、4時間くらいかかるようなボリュームが出ることもあります。

限られた時間の中で、1点でも良い点数を取るための理論の優先順位の判断の訓練をたくさんしてください。
事業税の過去問や普段の理論のテスト問題を題材に、30分時間があれば何を書くのか?
15分時間があれば何から書くのか?
5分しか時間がなければ何を書くのが最も点数が来るのか?

実際に理論を書く必要はなく、頭の中でやるだけでも十分です。
15分で解くなら、まず◎Aの条文→○Bの条文→△Cの条文といった感じで、たくさんアウトプットの訓練をして下さい。
そうすることで、本試験でも落ち着いて優先順位の判断ができるはずです。

余談ですが、私自身も本試験では2時間休むことなく手を動かし続けました。(事業税だけは手を止めたら落ちるという恐怖感がありました笑)
そんな私も、人より文字を書くのが早くありません。(遅くもないと思いますが…)
「速記大会で勝つにはどうしたら」と色々試行錯誤しましたが、個人的に一番ヒットしたのは万年筆です。
書き心地が良くボールペンよりスラスラ書け、手へのダメージも少ないです。
まだ試したことがない方は是非。

事業税まとめ

事業税には魅力と厳しさが存在する
理論計算ともに高精度が求められる
理論はアウツプットの工夫が肝
万年筆もおすすめ

これから勉強を始められる方や現在苦戦されている方は是非上記の内容を意識し勉強していただけたらと思います。

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