科目別勉強方法の仕方シリーズ!今回は簿記論です。
簿記論は税理士試験の必須科目です。
しかし多くの受験生を苦しめられる、クセのある科目でもあります。
簿記論を最短突破するために何が必要なのか…。
税理士試験簿記論を攻略するために必要なことを教えていただきます。
監修:吉岡のん
- 税理士試験に3年半で官報合格。
- 税理士受験生の応援団長として、実践しやすい勉強法を発信している。
- Youtubeチャンネル「のんびり税務」 (2018年〜2021)
- 著書「税理士試験 この勉強法がすごい」 (2020年 中央経済社)
実際に私自身も税理士試験5科目に合格していますが、簿記論は非常に苦しめられた科目です。
簿記論は税理士試験必須科目ですが、ただ素直にテキストやトレーニングをこなすだけではダメで、本試験を見据えた試験上の対策の有無が合格に大きく影響する科目です。
今回は私の経験も踏まえながら税理士試験簿記論に合格するためのコツについてお話しします。
簿記論の試験歴
受験1年目:不合格A判定
受験2年目:合格
実は1回落ちていて、だからこそ「自分の何がいけなかったのか」「どうしたら合格できるのか」考えに考え抜いた科目です。
実際に他の税理士試験の合格者の方でも「簿記論は最後の1科目まで残った」「一番苦労した」と言われる方もいるほど癖があるんです。
1年目の失敗
簿記論は合格に直結しない勉強時間が多かったと反省しています。
私の1年目の簿記論の勉強方法としては「とにかくテキストを読む」でした。
初めての受験で税理士試験の勉強もあまり分かっていなかったので、テキストを読んで、頭で理解しようとばかりしていました。
簿記論を勉強する以前に日商簿記2級は取得していたので、ある程度簿記の知識はあったのですが、やはり税理士試験を突破するには漏れがあったらいけないという気持ちがあって。
元々、完璧主義の性格だったので、とにかく全部覚えないととテキストばかり読んでいました。
ただ、税理士試験の簿記論は100%計算問題ですよね。
テキストばかり読んでいたので、この問題はテキストでやった論点だなとはわかるのですが、実際にテストになると手が動かなくて。
同じ間違いを繰り返したり、時間内に思うように解答できなくてますます簿記論が苦手になってしまいました。
2年目の勉強法
1年目の結果を受けて、2年目はとにかく演習に力を入れました。
簿記論のような計算問題の場合、理解していても解けなかったら0点です。逆に理解していなくても計算が溶けたら点数がもらえるんです。
1年目の時は何故この処理になるの?と頭で悩みすぎてしまい前に進めませんでした。
なので、2年目はまだ理解できないけど計算は解けるという状態にしていきました。
そうすると不思議なことに、以前より理解がスムーズに出来るようになったんです。
理解→解ける よりも 解ける→理解
の方が時間的にも短く、そしてスムーズに勉強が進めれることを実感しました。
実際2年目は、受験2年目ということもありましたが、殆どテキストを見ることはせず、勉強の95%は解くことに使いました。
簿記は頭で解くのではなく、手で解くのが効率的です。とにかく手をたくさん動かして体で簿記の感覚を覚えることがオススメです。
解く練習を必死にしたおかげで普段の予備校のテストでも上位10%台を維持でき、合格することができました。
私の失敗経験も踏まえ、簿記論に合格するためのポイントを詳しく紹介します。
簿記論合格のためには大きく勉強上のコツと解答上のコツがあります。
それぞれについてお話しします。
簿記論の勉強上のポイント
(1)問題演習が勉強の中心
(2)問題は解きっぱなしにしない
(3)早く正確に計算できるようにする
(1)問題演習が勉強の中心
簿記論は試験問題のほぼすべてが計算問題です。
計算はどれだけアウトプットしたのか、アウトプットの量が得点力にダイレクトにつながります。
私自身の失敗経験からも簿記のアウトプットの重要性、手を動かすことの重要性は強く感じています。
計算問題はどれだけアウトプットしてきたかが何よりも重要です。
講義やテキストで概略を把握したら、すぐに問題演習に取り組みましょう。
(2)問題は解きっぱなしにしない
念の為触れておきますが、簿記論は数をこなすことは重要ですが、問題を解きっぱなしの状態で次に進むような数のこなし方はよくありません。(たまに解いたままにする人が本当に居ます)
少なくとも間違えた問題については必ず復習してください。
間違えた問題については解説をしっかり読み不明点を解消する、そして時間をおいてもう一度解く。
どうしても時間がない人は2回目の演習は自分が間違えた問題だけでも大丈夫です。
間違えた問題の復習をせず次々と新しい問題を解いてしまう方がいますが、間違えた問題は解説を読み理解する➡︎そして時間をおいてもう一度復習するという習慣を身に着けてください。
(3)早く正確に計算できるようにする
簿記論の特徴として時間がないことが挙げられます。
年によっては時間内で解ききれないボリュームが出題される年があり、これは日商簿記検定との大きな違いの1つです。
だからこそ簿記論合格には早く正確に計算することが重要です。
「正確さ」と「速さ」2つのポイントに分解しお話していきます。
まず「正確さ」です。
どんなに計算スピードが早くても、答えが間違っていたら勿論0点です。
計算問題は答えが明確に決まっているので正しい答えを導かなくては得点に繋がりません。
正確さで大事なのは、自分の間違う傾向を分析し対策を講じることです。
例えば、「ケアレスミスが多く失点する」と嘆く人がいたら、その人は自分の間違う傾向を見つけることはできています。
なので弱点克服のため対策を講じるのが次のステップです。
ケアレスミスといってもどういったミスが多いのか?
転機ミス?電卓の打ち間違え?月数あん分等のし忘れ?etc…
月数按分を忘れがちな人がいたら(過去の私です)
月数按分に関連する問題が出ているのを確認したらすぐ、その横に「月数」など書いてしまう。
など忘れないための対策ができます。
自分の弱点を知る、そしてそれを克服するための対策を行う。
この2つを徹底することで正確な答えを出せる確率が上がります。
そして、計算スピードについて。
計算は速くなればなるほど、時間に余裕が生まれ、解ける問題が増えたり、ケアレスミスをしてないかなどWチェックに時間を回すことができます。
計算スピードを上げるというと読者の皆さんはどんなことを想像しますか?
電卓裁きを速くする?
速記の技術に走る?
しかし本当に本当に大切なのはそこではありません。
確かに電卓さばきが早かったりや速記ができる人はそうでない人より少しはアドバンテージかもしれません。
しかし、それによる時間の短縮はたかが知れています。
本当に計算スピードを上げたいならやるべきことは、問題量をこなすということです。
初めての解く問題は、自分の覚えた解き方に当てはめながら解くので時間がかかります。
しかし、何度も解いた問題は解答への道が瞬時に浮かぶのでスムーズに解答できます。
頭で考える時間、思考する時間が減るので、その分スピードが上がります。
どれだけの問題量に当たってきたかはスピードにモロ反映されます。
早く正確に解く力は一朝一夕に身につくものではありません。
常日頃から意識してを動かして、実践していくことで徐々に伸びていきます。
ここまで簿記論の勉強のポイントについてお話ししてきました。
基本的にはここまでお話しした勉強のポイントを地道に実践していけば実力はついていきます。
しかし簿記論はもう1つ合格のために必要な「解答上のポイント」があります。
簿記論の解答上のポイント
先ほど簿記論はボリュームが多いことをお話ししました。
簿記論の特徴としてもう1つ、難問や悪問が出題される年もあります。
ボリュームが多いにも関わらず、見たことがない問題が出る年もある。これが受験生泣かせで、簿記論の上位層の人であっても本番で十分実力を出し切れず合格できない人が出てしまう理由です。
簿記論合格のために気をつけるポイントとして難問に深入りしないことが挙げられます。
簿記論では今まで見たことがないような問題が平然と出て来ることがありますが、そういった問題には深入りは禁物。
難しい問題にしがみつくよりも解ける問題、あなたが今までテストなどで解いた「見たことがある問題」を確実に得点していきましょう。
実際に私も簿記論を受講していた時に、予備校の答練で受講生の正答率1%、2%の問題に出くわしたこともあります。
そんな難易度の高い問題は、あなただけではなく多くの受験生ができないので合否に影響しません。
更に言うと、簿記論はボリュームが多いことから難問に時間をかければかけるほど、他の解けるはずの問題が解けなくなる可能性もあります。
そのため、どの問題が優先して解くべきかを見抜く「取捨選択」が必要です。
取捨選択の訓練は試験が近い直前期には絶対やってほしいです。
簿記論は「問題量が多い」「問題の難易度が多い」ことから事前にある程度戦略を立てておくことが有用です。
「どこから解答していくか」「時間配分をどうするか」「難問出題時のシミュレーション」などをあらかじめ決めておくと、本試験の緊張状態の際、そのマニュアルに沿って解けるので難問で足止めされることも減りオススメです。
簿記論勉強法まとめ
今回は簿記論についてお話しさせていただきました。
簿記論は日商簿記などを勉強されている方には馴染みのある科目かと思いますが、日商簿記との違いは「問題ボリュームが多く時間がない」こと、「難問悪問等、難易度が極端に高い問題が出題される」ということでした。
合格のために必要なのは「早く、正確に解く能力」そして実践的な解答テクニックとしては「取捨選択能力」をつけるということでした。
このようなポイントを押さえ、簿記論の勉強に進んでほしいと思います。