税理士試験の所得税法は令和3年度の受験者数は 1,350人、合格者数は170人でした。
所得税法は、実務で個人のクライアント向け業務を広げたい方を中心に選ぶ方が多い科目ですが、税理士試験屈指のボリュームで合格のためには理論計算ともに学習時間の確保が必須です。
ボリュームが多い反面、ある程度の勉強時間が確保できる人は周りと差が付く科目でもあります。
この記事では、所得税法の傾向と最短突破のために必要な勉強法を説明しています!
・これから所得税法を勉強しようと思っている方
・すでに税理士試験の所得税法の勉強をされている方 にもヒントになる情報があります!
正しい知識を身につけ、最短突破していきましょう!
所得税法ってどんな科目?
税理士試験は会計科目から2科目、税法科目から3科目を選択し、合計5科目に合格することによって税理士試験合格となります。所得税法は税理士試験の選択必須科目です。
個人が1年間に稼いだ儲けに対して課される税金が所得税です。
そのため個人をクライアントに会計事務所で仕事をする場合、特に実務に直結する内容です。
所得税法は、法人税法と並んで税理士試験の中で最も学習量が多い科目と言われています。しかし裏を返せば学習時間を確保できる人は周りの受験生と差をつけやすい科目です。
ミニ税法科目だと多くの受験生がレベルの高い状態で本試験に臨むため、そこから頭一つ抜けるのは難しいです。
しかし法人税法のような学習ボリュームが多い科目の場合、満遍なく学習すること自体にハードルがあります。
ある程度時間が取れる受験生は実務での使用頻度を考えても勉強する価値はありそうです。
所得税法で学ぶこと
所得税法の出題範囲は下記の通りです。
所得税法の出題範囲
所得税法。所得税法に関する事項のほか、租税特別措置法、国税通則法など当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含む。
上記の通り、所得税法だけでなく、所得税法施行令、施行規則、耐用年数省令など所得税法に関する法律からも出題され試験範囲は膨大です。
税理士試験の所得税法は理論問題50点、計算問題50点の合計100点で出題されます。
理論問題は「○○の規定について述べよ」という個別理論、「居住者は○○した。所得税上どのように取扱われるか」という事例問題が出題されます。
最近は個別問題のみならず応用問題が顕著ですが、基本は条文を中心とした個別問題です。それぞれの規定についての深い理解が必要です。
計算は個人の納付すべき所得税額までの計算のほか、課税標準や課税所得金額までの計算が出題されています。近年の傾向として、答案用紙6〜9枚ほどの非常にボリュームが多い基本項目の問題が中心に出題される事が多く時間配分が合格のための肝となります。
所得税法の受験者数の推移
直近10年間の所得税法の受験者数の推移は次のようになっています。受験者数(延べ人数)
2021年 1,350人
2020年 1,437人
2019年 1,659人
2018年 1,704人
2017年 1,787人
2016年 1,891人
2015年 2,005人
2014年 2,123人
2013年 2,374人
2012年 2,492人
所得税法の受験者数は2012年には2,492人だったの対し、2021年には1,350人とここ10年で半減しています。
税理士試験の受験者数は所得税法だけでなく税理士試験全体としても減少傾向にあります。税理士の将来性については下記の記事で解説しています。
所得税法の難易度
●必要な勉強時間
所得税法の合格に必要な時間は600時間と言われています。
この数字は予備校でよく言われる所得税法の学習に必要な目安時間です。
この数字より少ない時間で合格する人もいますし、一発で合格できない場合600時間以上の勉強時間を費やす人もいるため、あくまで参考程度の数字です。
ただ、1点客観的な事実として言えるのは、この600時間は税理士試験の各科目の中で、学習時間が最も多い科目だということです。
●所得税法の合格率
こちらのグラフは2021年から過去5年分の合格率の推移になります。
所得税法の合格率は他の科目としても合格率が非常に安定しているのが特徴です。
過去10年でみても、12.0%(第70回)-14.8%(第63回)と10%前半で推移しています。
そのため、所得税法の合格には本試験で上位10%前半を目指す必要がありそうです。
ただし予備校に通学されている方の場合、直前期の答練は上位30%が目標です。直前期の答練は答案提出をしない方が多くなる為です。
法人税法と所得税法どちらを選ぶ?
税理士試験の選択必須科目の「法人税法」「所得税法」どちらを選ぶべきか悩む方も多いでしょう。
法人税法、所得税法ともに必要な学習時間は600時間と非常に多いボリュームです。学習範囲の広さから満遍なく勉強する必要があり、どちらを選ぶにしても合格レベルに達するために勉強時間の確保は必須です。
税理士試験の勉強をしていると少しでも受かりやすい科目はないのかと考えてしまいがちです。
「所得税法の方が受験者数が少なく、母数のレベルが高いので所得税法の方が難しい」
「法人税法の方が高度な税法解釈を求められるため、法人税法の方が難しい」
等々、色々な意見が出回っていると思います。
しかし、法人税法と所得税法はいずれにしても必要な学習時間が多く、どちらを選ぶにしても覚悟が必要です。
法人税vs所得税の科目選択にあたっては、ご自身のキャリアを考えながら実務での使用頻度で選ぶのがオススメです。
税理士となった時、法人の顧客と個人の顧客どちらをメインに仕事をしたいのかで決めた方が良いでしょう。
また、就職活動という点では、法人税法の合格者又は受験経験者を求めている会計事務所が多い印象です。
勤務税理士としてのキャリアを考えている場合、法人税法の方が就職に有利です。
失敗しない科目選択については下記の記事をご覧ください。
オススメの勉強法
所得税法は学習範囲の広さもありますが、実際の本試験でも限られた時間の中で合格答案を作成する必要が出てきます。
そのため理論計算ともに反復学習が大切です。
計算の反復は計算スピードの向上に役立ちますし、理論の反復は理論暗記に役立ちます。
所得税法の理論は問題の要点を押さえ簡潔に解答することが大切です。
要件や取り扱いなど必要な項目は過不足なく解答する反面、問題に外れた事項についての解答は避ける必要があります。
最近の理論問題は応用問題も顕著ですが、基本は条文中心の個別問題です。各規定について理解をしながら暗記を進めていきましょう。
所得税法は独学できる?
結論から言うと、所得税法の独学は非常に厳しいと考えられます。
所得税法は税理士試験11科目の中で最もボリュームが多く、難易度も高いです。市販の教材だけではカバーしきれないと考えられます。
税理士試験は1科目あたり上位15%しか合格できない難しい試験です。
その狭き門をくぐり抜け続けて、5科目に合格しようやく税理士試験に合格できます。
5科目に合格する必要があるため、数年単位で勉強のモチベーションを維持しないといけない長期戦が強いられます。
「そうはいってもお金の事情で独学しか選択肢がない」という方もいるかもしれません。
確かに税理士試験の1科目あたりの受講料相場は15~20万円で、ストレートで合格できても、5科目で100万以上かかります。
しかし、完全オンラインでリーズナブルな税理士試験の通信講座が出来ました。
スタディング税理士講座の受講料は簿財2科目で59,950円(税込)、その他税法科目は1科目49,500円(税込)で受講することができます。
スマホ学習ができ、通勤時間など隙間時間を活用して勉強できるので忙しい社会人の方にも人気です。
お金のことが心配で今まで税理士試験にチャレンジ出来なかった方はこの機会に是非チェックしておきましょう。
税理士試験の所得税法まとめ
学習範囲は広く難易度も非常に高い
膨大なボリュームの押さえ方が合格の鍵
計算理論ともに反復学習
独学は難しく予備校を活用すべき
これから勉強を始められる方や現在苦戦されている方は是非上記の内容を意識し勉強していただけたらと思います。